東京地方裁判所 平成5年(特わ)1596号 判決 1993年12月27日
本籍
東京都新宿区下落合二丁目一九番
住居
東京都新宿区下落合二丁目一九番二五号 カサデロマ二F
飲食店経営
冨田江里
昭和二二年六月一六日生
主文
被告人を懲役一〇か月及び罰金一、五〇〇万円に処する。
この罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、東京都新宿区下落合二丁目一九番地二五号カサデロマ二F(平成元年二月一日までは新宿区中落合一丁目二番二二号ライオンズマンション下落合三一八号室)に居住し、東京都港区赤坂三丁目七番一七号において「クラブヒルトン」の名称で飲食店を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和六三年分の実際所得金額が五、九九六万八、一二二円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、平成元年三月二日、東京都港区西麻布三丁目三番五号所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が三九一万七、九五〇円で、これに対する所得税額が二八万五、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成五年押一三二八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二、六一九万八、六〇〇円と右申告税額との差額二、五九一万三、六〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れ
第二 平成元年分の実際所得金額が三、五七四万七、四二八円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、平成二年三月一五日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が四四三万〇、九一〇円で、これに対する所得税額が三五万五、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成五年押第一三二八号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一、三三二万八、五〇〇円と右申告税額との差額一、二九七万二、九〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ
第三 平成二年分の実際所得金額が二、七九八万八、九八六円であった(別紙5修正損益計算書参照)のに、平成三年三月一五日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が五四七万〇、一六二円で、これに対する所得税額が五六万四、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成五年押第一三二八号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額九三七万一、七〇〇円と右申告税額との差額八八〇万六、九〇〇円(別紙6ほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠)
括弧内の数字は、証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。
ただし、通数、押収番号を示したものは除く。
全事実について
・被告人の公判供述
・被告人の検察官調書(七通)
・合田龍夫(三通)、豊島孝良、田原義一及び二宮こと菊地佳則の各検察官調書
・林福鵬の質問てん末書
・売上調査書、期首棚卸高調査書、酒仕入調査書、材料費調査書、期末棚卸高調査書、広告宣伝費調査書、給料手当調査書、地代家賃調査書、事務用消耗品費調査書、水道光熱費調査書、旅費交通費調査書、租税公課調査書、接待交際費調査書、備品消耗品費調査書、厚生費調査書、車両費調査書、通信費調査書、支払手数料調査書、減価償却費調査書、営業権償却調査書、支払利息割引料調査書、雑費調査書、貸倒損失調査書、雑収入調査書、社会保険料控除額調査書、寡婦控除額調査書
・捜査報告書(甲一一、二二)
・領置てん末書
第一及び第二の各事実について
・捜査報告書(甲二、五)
第一及び第三の各事実について
・源泉徴収税額調査書
・捜査報告書(甲四六)
第二及び第三の各事実について
・消費税調査書
・捜査報告書(甲一五)
第一の事実について
・利子収入調査書、給付補てん金調査書、医療費控除額調査書
・捜査報告書(甲七)
・所得税確定申告書等一袋(平成五年押第一三二八号の1)
・住民票
第二の事実について
・捜査報告書(甲二〇)
・所得税確定申告書等一袋(平成五年押第一三二八号の2)
・収支内訳書一袋(平成五年押第一三二八号の4)
第三の事実について
・配当収入調査書、生命保険料控除額調査書、配当控除調査書
・捜査報告書(甲三〇、三七、四四)
・所得税確定申告書等一袋(平成五年押第一三二八号の5)
・収支内訳書一袋(平成五年押第一三二八号の5)
(法令の適用)
罰条 第一、第二、第三につき、いずれも所得税法二三八条一項、二項(情状による)
刑種の選択 いずれも懲役刑と罰金刑の併料
併合罪加重 刑法四五条前段
懲役刑につき 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)
罰金刑につき 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)
労役場留置 刑法一八条
刑の執行猶予
懲役刑につき 刑法二五条一項
(検察官 今村隆・中村葉子、主任弁護人 相川裕各出席)
(求刑 懲役一〇か月及び罰金一、五〇〇万円)
(裁判官 堀内満)
別紙1 修正損益計算書
<省略>
別紙2 ほ脱税額計算書
<省略>
別紙3 修正損益計算書
<省略>
別紙4 ほ脱税額計算書
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別紙5 修正損益計算書
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別紙6 ほ脱税額計算書
<省略>